水谷章三さん インタビュー Part 3
戦争を伝えるということ
水谷さんの作品の中に『うそっこき』という児童文学があります。戦争をテーマとしているものの、どことなく民話に通じる間の抜けたユーモアがあり、人間味の溢れる作品です。
「難しい話だと子どもは避けてしまいます。だから身近なユーモアを交えながら、気が付いたら怖い話だったという伝え方はできないかと思いました。」
確かに、悲惨な体験をそのまま話すだけでは、なかなか伝わりません。恐ろしい事実とは認識できても、あくまで過去の話でリアリティを実感するのは難しいものです。私たち戦争体験のない大人ですらそうなのですから、子どもから見ればなおさらで

しょう。昨年大ヒットしたアニメーション映画『この世界の片隅に』でも、戦争を生きた一般庶民の日常がみずみずしい表現で描かれていることが話題となりました。
「戦争の悲惨さを子どもが追体験できるような怖い話というのも、もちろん大切でしょう。でも、普段の生活の延長として戦争を伝えるのも手段の一つではないかと思います。どちらがいいのか分からない、難しい問題ですが…」
執筆中は、当時を思い出しイライラしながら筆を進めていた、と語る水谷さんの言葉が、とても印象的でした。
実はベテランのかなまちエリア住民
現在でもかなまちLive編集部にほど近い西水元にお住いの水谷さん。劇団太郎座のあった東金町の昌明通り裏の線路沿いに10年、大場川の水門の近くに10年、そして現在の西水元に10年と、実はかなまちエリア在住30年という、筋金入りの地元民です。

「(金町)駅前は昔と比べるとずいぶん変わったけれど、それでも東京とは思えないくらい静かで、緑が多い。つい最近も上演で新宿都心に行ったけど、空気の美味しさが違いますよ。」
仕事の関係でたまたま移り住んだかなまちエリアですが、自然の多さと空気のきれいさに惹かれ、いつの間にか終の棲家に。水元公園でボランティアガイドを務めているという奥様ともども、別の場所に移るつもりはまったくないそうです。
水谷さんは現在、紙芝居の執筆の傍ら自ら上演に出向いたり、後進の指導にも力を入れたりと、精力的に活動しています。この日も、トレードマークのベレー帽をかぶって颯爽と自転車で登場。幼少の頃は剣道で鍛えたという小柄ながらもがっしりとした後姿は、とても傘寿を過ぎたおじいちゃんには見えません。これからも、お母さんも子どもも笑顔になれるような、そんな素敵な作品を生み出していただきたいと思います。